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Battery & Fuel Cell
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Battery & Fuel Cell

1. 一次電池 (Primary Battery)

一次電池と二次電池の違い

Primary Battery

1.1 ボルタ電池 (Voltaic Battery)
負極(−極)化学反応式 電解質 正極(+極)化学反応式 電圧
Zn→Zn2++2e- H2SO4 2H++2e-→H2 1.1V
Voltaic Battery
  • 1800年にボルタが発明。電極のイオン化傾向の違いを利用。
  • 発生水素により、+極が失活。

1.2 ダニエル電池 (Daniell Battery)
負極(−極)化学反応式 電解質 正極(+極)化学反応式 電圧
Zn→Zn2++2e- ZnSO4, CuSO4 Cu2++2e-→Cu 1.1V
Daniell Battery
  • 1836年にダニエルがボルタ電池を改良。
  • 素焼き板(イオン交換膜)を利用することによって、+極での硫酸イオンの飽和を抑制。

1.3 マンガン電池 (Zinc-Carbon Battery)
負極(−極)化学反応式 電解質 正極(+極)化学反応式 電圧
4Zn+ZnCl2+8H2O→ZnCl·4Zn(OH)2+8H++8e- ZnCl2 8Mn2O+8H++8e-→8MnOOH 1.5V
Zinc-Carbon Battery
  • ルクランシェ電池の改良版。電解質をNH4Cl液からZnCl2ペーストに変えることで乾電池を実現。
  • 小電流、間欠放電に適する。

1.4 アルカリ電池 (Alkaline Battery)
負極(−極)化学反応式 電解質 正極(+極)化学反応式 電圧
Zn+2OH-→ZnO+H2O+2e- KOH 2Mn2O+2H2O+2e-→2MnOOH+2OH- 1.5V
Alkaline Battery
  • 1960年に製造開始。
  • 電解質に水酸化カリウムを用いることによって、大電流化,大容量化を実現。

1.5 酸化銀電池 (Silver-Oxide Battery)
負極(−極)化学反応式 電解質 正極(+極)化学反応式 電圧
Zn+2OH-→ZnO+H2O+2e- KOH Ag2O+H2O+2e-→2Ag+2OH- 1.55V
Silver-Oxide Battery
  • 1976年に製造開始。
  • +極に二酸化マンガンの代わりに酸化銀を使用。腕時計の電源などで利用。

1.6 リチウム一次電池 (Lithium Battery)
負極(−極)化学反応式 電解質 正極(+極)化学反応式 電圧
Li→Li++e- LiBF4, LiClO4 (CF)n+nLi++ne-→nC+nLiF 3.0V
MnIVO2+Li++e-→MnIIIO2(Li+)
LiAlCl4 2SOCl2+4Li++4e-→4LiCl+S+SO2 3.6V
Lithium Battery
  • 1976年に製造開始。
  • +極の種類によって、フッ化黒鉛,二酸化マンガン,塩化チオニル各リチウム電池に分類される。
  • 電解質が非水系であるため、低温でも使用可能。

2. 二次電池 (Secondary Battery)

二次電池(蓄電池)と(スーパー)キャパシタの違い

Secondary Battery

2.1 鉛蓄電池 (Pb Battery)
負極(−極)化学反応式 電解質 正極(+極)化学反応式 電圧
Pb+SO42-→PbSO4+2e- H2SO4 PbO2+4H++SO42-+2e-→PbSO4+2H2O 2.0V
Pb Battery
  • 1859年にブランテが発明。現在まで基本的な構造は変わっていない。
  • コストが最も安価で、自動車から無停電電源装置(UPS)まで幅広く利用されている。

2.2 ニカド電池,ニッケル水素電池 (Ni-Cd, Ni-H Battery)
負極(−極)化学反応式 電解質 正極(+極)化学反応式 電圧
Cd+2OH-→Cd(OH)2+2e- KOH NiOOH+H2O+e-→Ni(OH)2+OH- 1.2V
MH+OH-→M+H2O+e-
Ni-Cd, Ni-H Battery
  • 1899年にユングナーがニカド電池を発明、1990年よりニッケル水素電池の製造を開始。
  • ハイブリッド自動車などで利用されている。
  • メモリー効果がある。

2.3 リチウムイオン二次電池 (Li-ion Battery)
負極(−極)化学反応式 電解質 正極(+極)化学反応式 電圧
CLix→C+xLi++xe- LiPF6, LiBF4 Li1-xCoO2+xLi++xe-→LiCoO2 3.6V
Li-ion Battery
  • 1991年に製造開始。
  • 携帯電話やノートパソコンの電源など幅広く利用されている。
  • エネルギー密度が高く、今後電気自動車などへの適用が進むことが予測される。
  • メモリー効果がほとんどない。
  • 過充電,過放電により発火しやすく保護回路が必要。

2.4 ナトリウム硫黄電池 (NaS Battery)
負極(−極)化学反応式 電解質 正極(+極)化学反応式 電圧
2Na→2Na++2e- β-Al2O3 5S+2Na++2e-→Na2S5 1.6V
NaS Battery
  • 約300℃で作動。
  • 出力密度は低いもののエネルギー密度が高く、負荷平準化に適している。

3. 燃料電池 (Fuel Cell)

二次電池と燃料電池の違い

Fuel Cell

3.1 リン酸形燃料電池 (PAFC; Phosphoric Acid Fuel Cell)
燃料極(−極)化学反応式 電解質 空気極(+極)化学反応式 電圧
H2→2H++2e- H3PO4 1/2O2+2H++2e-→H2O 1.2V
PAFC
  • 約200℃で作動。イオン伝導種がH+であり、燃料として純水素を使用。
  • 業務用コージェネレーション(熱電併給)システム(100kW)として商品化。

3.2 溶融炭酸塩形燃料電池 (MCFC; Molten Carbonate Fuel Cell)
燃料極(−極)化学反応式 電解質 空気極(+極)化学反応式 電圧
H2+CO32-→H2O+CO2+2e- K2CO3, Li2CO3 1/2O2+CO2+2e-→CO32- 1.1V
MCFC
  • 約650℃で作動し、電解質の炭酸塩を溶融して使用。イオン伝導種はCO32-
  • 産業用分散電源(1500kW)として、主に海外で商用化。

3.3 固体高分子形燃料電池 (PEFC; Polymer Electrolyte Fuel Cell)
燃料極(−極)化学反応式 電解質 空気極(+極)化学反応式 電圧
H2→2H++2e- フッ素系高分子膜 1/2O2+2H++2e-→H2O 1.2V
PEFC
  • 室温〜約80℃で作動。イオン伝導種がH+であり、燃料として純水素を使用。
  • 家庭用コージェネレーション(熱電併給)システム(0.7kW),自動車用(100kW)で利用。

3.4 固体酸化物形燃料電池 (SOFC; Solid Oxide Fuel Cell)
燃料極(−極)化学反応式 電解質 空気極(+極)化学反応式 電圧
H2+O2-→2H2O+2e- Y2O3-ZrO2 1/2O2+2e-→O2- 1.1V
SOFC
  • 約700〜800℃の高温で作動するが、電解質は固体のセラミックス(酸化物)。
  • イオン伝導種がO2-であるため、水素以外にメタン,LPG等の炭化水素も燃料として使用可能。
  • 家庭用(0.7kW),業務用(200kW)コージェネレーション(熱電併給)システムとして商品化。

参考文献
  • 松下電池工業「図解入門よくわかる最新電池の基本と仕組み」(秀和システム)
  • 池田 宏之助「燃料電池のすべて」(日本実業出版社)